《介護×テクノロジー=働き方改革》 メディサポ取材:小串
最近の介護施設では、どんどん介護ロボットが導入されており職員の負担軽減に力を入れていることをご存知でしょうか?
少し前の介護といえば、3K(きつい、汚い、危険)のイメージが強かったと思いますが、最新の介護施設は、一味違います。
介護ロボット、インカム、ICT(情報通信技術)の先端技術で介護施設の運営を行っています。
今回は、三重県内でもトップクラスの最新機器を取揃える鈴鹿グリーンホームさんへ取材に行ってきました!
(取材協力)
社会福祉法人 鈴鹿福祉会
鈴鹿グリーンホーム 服部施設長
鈴鹿市深溝町2956
TEL:059-374-4600
介護ロボットやICTに力を入れる理由
Q、どうしてこれほどまでに介護ロボットやICTに力を入れるようになったのですか?
A、国の方向性や最近のトレンドということもありますが、私たちにとって一番重要だと思うことは、「介護は最終的に人である」ということです。そのためには、職員に余裕が無いといけません。しかし、これだけ人手不足が叫ばれる世の中です。余裕を生むほどの職員を確保することは、他のどの施設もできていません。そこで我々は、設備を整えることで、既存スタッフの負担を軽減し、空いた時間でより利用者の皆様とスタッフが接する時間を確保したいと考えました。
〈移乗支援〉
介護職員の皆さんの持病ランキング堂々1位に輝く、腰痛。
少しでも介護職員の皆さんの体の負担を軽減することを目的に鈴鹿グリーンホームでは、マッスルスーツとHALを導入。
職員の皆さんからもこれがあると全然ちがう!と評価は上々の模様。何より、ムッチャカッコいい!最先端!
●マッスルスーツ
●HAL
●つるべー
●i-PAL
僕自身もi-PALを体験!手すりに捕まっただけで機械が僕の体をロックし持ち上げます。これを利用することでトイレへ。もしくは、お風呂へと楽々移動です。
〈コミュニケーション支援〉
●メンタルコミットロボット「パロ」
鈴鹿グリーンホームで1番の人気を誇るパロ。ただ単に可愛いだけではありません。
ギネスブック(2002年)にも認定されている「世界でもっともセラピー効果があるロボット」です。姿はタテゴトアザラシの赤ちゃんで、多数のセンサーや人工知能の働きによって、人間の呼びかけに反応し、抱きかかえると喜んだりするほか、人間の五感を刺激する豊かな感情表現や動物らしい行動をし、人を和ませ、心を癒します。この日も入居者の方々と穏やかな時間を過ごしていました。
●社内インカム
「インカムのお陰で、叫ぶ必要がなくなりました(笑)」とスタッフさん。今までは、広い施設の中でヘルプが欲しい時は、大きな声で叫んでいたのが、インカムを導入してからは施設内がとても静かになったとか。ケアスタッフ同士の業務のやりとりは、利用者にとって生活雑音になるので、そういう意味でもインカムはとても効果的だそう。
〈記録支援〉
●モバイタルくん
昨年の3月に研修を行い5月に本格導入したモバイタルくん。
他の介護施設では、アナログ派のスタッフさんが何人かいてなかなか導入が進まない分野にはなりますが、
鈴鹿グリーンホームではわずか2ヶ月でのスピード導入。トップの断行能力の高さが伺えます!
モバイタルくん導入までは、鈴鹿グリーンホームのスタッフさんのなかにもガラケーのアナログ派の方々がいらっしゃったそうですが、今ではすっかりスマホに機種変されたそう(笑)。
●眠りスキャン
ショートステイに9台導入されているロボット。この眠りSCANはマットレスの下に設置したセンサーにより、体動(寝返り、呼吸、心拍など)を測定し、睡眠状態を把握します。
眠りSCANを活用することでスタッフの業務負担の軽減だけではなく介護の質の向上にも役立てている。「最後は人間の判断にはなりますが、それまではできる限り客観的に情報を集めることが重要です。」と話す施設長の服部さん。
〈介護予防〉
●HURスマートタッチ
機能訓練を始める前にまずは腕に装着!
この機械すごいです。僕が通っているジムよりすごいです。
何がすごいかというと、この腕に装着した端末に僕の個人情報が記録され、自動で各マシーンの重りが調整されます!!
これぞICT。そして、記録も自動で取得され、また次回以降に活用されます。紙に書いて覚える・・・。自分の脳みそに刻み込む・・・。
もうそんなことをしなくて良いのです。本当に便利な世の中になりました(笑)
●レッドコード
本物のアスリートもトレーニングに活用しているというレッドコード。鈴鹿グリーンホームでもこちらのレッドコードを利用して介護予防に取り組んでいます。僕も今回、初挑戦。運動不足の僕には思ったより良い運動でした。
〜小串のまとめ〜
今回、取材させていただきました鈴鹿グリーンホームさんでは、今から20年後の2040年の鈴鹿市の人口推移を想定して施設運営されているのが印象的だった。
2040年の鈴鹿市では、65歳以上の高齢者人口が約32,000人増加するのに対し、労働人口は35,000人減少するそう。
ますます減っていく労働者人口をカバーする方法として、
1.アクティブシニアの活用
2.外国人実習生制度の利用
3.ICT(IOT)、ロボットの徹底活用
の3本柱で対策を練っていく必要がある。ということで、介護ロボット等の最先端技術にはとことん投資しているとのことだった。
その中でも、「最後は人だが、人に余裕が無いとミスが生まれ、疲弊で潰れてしまう。そうならないためにもスタッフの負担を少しでも減らしたい」
という施設長の言葉が印象的だった。介護現場だけではなく、今後は、今まで以上にロボットやAIの利活用がポイントとなってくる。
反論や失敗を恐れず、勇気ある投資をトップが行うかどうかが運命の分かれ目となりそうだ。